BUHI

いろいろ

それぞれの流れに従って

 Khatia BuniatishviliのMother landというCDをよく聴く。同じCDを何度も繰り返して聴くということは久しくなかった。小品を集めたCDで、ピアノを普段あまり聴かない人こそ楽しめるCDだと思う。ドビュッシーの月の光といった有名曲も入っているし、ほとんどの曲が聴きやすい曲だ。不思議とどの曲を聴いても妙に心動かされる。ピアニストを意識して聴くことがまた多くなったが、Buniatishviliの演奏は、どれも素晴らしい。Youtubeの演奏よりもCDの方が良いと思う。

 Buniatishviliの演奏を聴いても、他の優れたピアニストの演奏を聴いても、思うことがある。それは、立体的であること。まずい演奏は、音楽が全体として平面的だ。伴奏もメロディーも同じようなレベルで演奏されてしまうと音それぞれの必然性が感じられない。

 ただ歌えば良いものではないのだろうと思う。複数の声部がある曲では特にそれぞれの旋律が独立して、かつ、自然と絡み合う必要がある。旋律には、そのメロディー自身が持つ歌い上げようとする力がある。その旋律に内在するルールというか流れ。だから、別の旋律はそれぞれに内在する方向性をちゃんと示さないといけない。それは、技術的にいえば、音の長短、レガートの程度、音量、音色であったりする。メロディーそれぞれがお互いの領分を守って、かつ、お互いに浸透しあうような関係に立つと、立体的で自然な演奏になる。お互いに領域侵犯し合うと、バランスを欠き、平面的になる。